3D ベーシック講座 第1回 一体型ツインレンズカメラレコーダー AG-3DA1

昨今、ハリウッドを中心に次々と新作3D映画が発売されています。3D映像は、一過性のブームではなく、映画界の新しい本流のひとつになろうとしています。
現在、3D映画の製作には多くの労力と時間を要していますが、今回、制作環境の整備と効率化を目指した3D映像制作システム開発を加速することにより、高品質な3D映像コンテンツの制作促進に貢献してまいります。



AG-3DA1は業務用として世界初のフルHDメモリーカード記録できる2眼レンズ式のカメラレコーダーです。従来の3Dカメラシステムでは2台のカメラを平行、若しくはハーフミラーを挟んで垂直に交差するように取り付けた大掛かりなシステムで、撮影には入念な調整が必要でした。またレコーダーは別途用意する必要がありました。AG-3DA1はレンズ、カメラヘッド、メモリーカード記録部が一体化しており従来の3Dカメラシステムと比べ大幅な低価格、小型で高い機動力を発揮しより自由な撮影が可能になります。




立体的に見える理由
人間は対象物を見る時、形や大きさ、色、向き、動き等その他にも様々な情報によって認識していますが、生理学的に見ると眼球の動作によって対象物に奥行きを感じる機能を持っています。また、さらに心理学的な要素も加わって総合的に対象物の立体感や奥行きを感じています。

眼球の動作としては、まず対象物の遠近により焦点距離を変化させます。これにより、焦点の合っている物といない物との距離感の差を感じます。
さらに別の動作として、両眼の視差を利用して奥行きを感じる点が挙げられます。ここではこの視差に着目して物が立体に見える理由をご説明します。

人間が対象物を両目で見る時、左右のそれぞれの目で少し異なる像を見ています。 これは人間の目は左右で65mmほど離れており、それぞれの目に映る像が異なるためです。この左右の目で見えている像の差を視差と言います。
また、目に近いものを見る時と遠くを見る時では目の向き(角度θ)が違います。この時にできる角度を輻輳角と呼びます。対象物が正面にある場合、(図1のθ)輻輳角は近くのものを見るときは大きくなり、遠くのものを見る時は小さくなります。

人間は視差によって脳でひとつの画像にするときに奥行き等、距離を認識し立体感を感じます。
3D映像ではこの視差ができるように左右それぞれの目に応じた映像を作り出すことで、平面の画像で映し出されてもこれを見たときに立体感を感じることができます。


図1 輻輳角




図2は両目でスクリーン上の対象物を見て視差がない場合を表しています。 このスクリーンを基準とした時、図3、図4は左右のそれぞれ目で見えている映像で、このときに視差ができるように表したものです。






図5の様に左右それぞれ目に応じた映像を作り視差ができることで対象物までの距離が近いと感じて手前に飛び出して見えます。また、逆方向に視差がある場合は対象物が遠い位置にあると感じて奥行きを感じます。
(図6)






このようにそれぞれの目に応じた映像を作り出すことで飛び出しや奥行きを感じて立体感を得ます。AG-3DA1は2眼式でそれぞれレンズからの映像で左右の目に対応する映像を作り、視差を変え、また、コンバージェンスを調整することでより自然な3D映像を撮影することができます。


図7 視差の量に応じて対象物までの距離が変わる




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